nanowell Journal

まなべる ナノウエル

2023.04.21 まなべる ナノウエル #08

【中村さやこさん】手作りごはんでわんちゃんの健康な食生活を

滋賀県大津市でわんちゃんやねこちゃんの健康料理教室「フラワーキッチン ポピー」を主宰されている中村さやこさんに、大切なパートナーの食や手作りごはんについておうかがいしました。元動物看護師の中村さんは、ご自身の体質やパートナーのわんちゃんの体質にあう食について考え始めたことをきっかけに、研究されています。

料理に興味を持ったきっかけについて教えてください

実は、元々、料理にそこまで興味はありませんでした。母が料理教室を開いていましたが、もっぱら食べる専門でした(笑)。母からお料理を教えてもらうこともありませんでしたし、結婚してからも家族のごはんはレシピサイトを見ながらつくっていました。

ただ、わんちゃんのお料理だけは例外で、手作りをしていました。愛犬にはアレルギーがあり、最初は一般的なドックフードを食べさせていましたが、アレルギーに配慮してごはんは手作りに切り替えました。それからというもの、わんちゃんには手作りごはんを続けています。

わんちゃん向けにはどんな料理をしているんですか?

主にごはんよりもおやつですね。「手作りごはんは難しそう」と感じられて、まずは手作りおやつから始める方が多いです。おやつを手作りにして、それを続けていると、わんちゃんの身体も少しずつ変わっていくので、それが手作りごはんのスタートですね。

今のお仕事の前は、どんなお仕事だったんですか?

元々はトリマーの専門学校に通っていました。その後、トリマーとして就職しましたが、私が犬アレルギーになってしまった上、持病のアトピーも悪くなってしまいました。わんちゃんが好きなのに、アレルギーになってしまったことにショックを受けて、なんとか続けようとしたのですが、悪化してしまい、治療に専念するために退職しました。動物と関わらない仕事も経験しましたが、やっぱりわんちゃんに携わる仕事がしたいという気持ちから動物看護師の道を選びました。

ステロイドなどの薬に頼る治療から食事療法を中心とした病院に切り替えて、私自身が元気になったので、愛犬のアレルギー体質に対しても食事からという気持ちが強くありました。

わんちゃんの栄養学はどのように学びましたか?

きっかけは先ほどお話しした愛犬のアレルギーで、すべては独学からのスタートでした。愛犬のアレルギー検査をしたら、ほとんどの項目でアレルギー反応が出たんです。肉類などを含むたんぱく質のほか、とうもろこし、大豆など、ドッグフードに入っているあらゆるものがNGでした。最初はとにかく食べられるものをあげる感じでした。当時は、動物病院や頼れる専門家も周囲にはいませんでした。動物病院もフードを勧めるところが多いですよね。途方にくれていたところ、東京にペットの食育を専門にしている人がいることを書店で知りました。それをきっかけに専門的に勉強を始めて、その先生が代表をしているペット食育協会(APNA)のペット食育士や、犬の管理栄養士の資格を取得しました。

私も食べられたものが食べられなくなって体調を崩した時期があり、人の食や栄養について勉強していくと、犬と人間の共通点に多く気づきました。だから、私の講座では、人もわんちゃんもねこちゃんも、皆が学べる講座として発信しています。

料理教室の様子を教えてください

いくつかコースがあります。一番人気のあるおやつコースでは、座学はなく、おやつ作りを実践的に学びます。一方で、基礎コースとディプロマコースでは、わんちゃんの身体の仕組みなどから学んでいく座学中心の講座内容になっています。

ねこちゃんの飼い主さんもいらっしゃるんですか?

今は、猫ちゃんの飼い主さんはいません。私の周囲では、皮膚病のように身体に出てきやすい症状はわんちゃんに多く、ねこちゃんは体内に出る症状が多い傾向があります。身体の表面に現れる分かりやすい症状をきっかけに食を見直されるかたが多いようです。

わんちゃんとねこちゃんそれぞれの料理の違いはありますか?

ごはんに関しては一緒です。細かくは、必須アミノ酸や脂肪酸などに違いがあります。ただ、例えば、ねこちゃんにはタウリンが必要だなんて言われることが多いですが、そこまで神経質になる必要はないと考えています。手作りごはんをしていれば、いろいろな食材からタウリンは摂取できます。

生徒さんはおうちの子の食事改善が希望で来られる方が多いですか?

はい、食事の改善を希望される方が多いです。皮膚病や泌尿器系の疾患を持ったわんちゃんの飼い主さんが多いですね。泌尿器系の病気で、療法食を続けている方はよくいらっしゃいます。ただ、療法食ってあまりおいしくないのか、食べなくなったという声が多く、何をあげたらいいのかわからないとおっしゃられる生徒さんが多いです。そこから手作りごはんに変えてから、食べる量が増えたという声もいただきます。

手作り食のメリットとデメリットはなんですか?

手作り食のメリットは、自分でつくるために添加物が入る心配がないことです。また、アレルギーなどの体質に合った食事を用意できることも安心ですね。新鮮な食材を摂取できるので体質が改善したり、水分を多く摂れるので代謝も良くなったりします。便秘気味のコロコロのうんちが良いうんちに変わったというわんちゃんもたくさんいます。デメリットは、保存料などの添加物が入ってないために日持ちしないことですね。そして、手間と時間がかかることです。これも作り置きして、小分けにし冷凍すると、そんなに大変じゃないです。

愛犬ピノさんにはどれくらい手作り食をされてたんですか?

2歳から16歳半までです。やたらと皮膚をかいて真っ赤になっていたのが1歳のときですね。前歯で噛んで毛が生えてこない皮膚もあって、手作りごはんに変えました。それから、亡くなるまでずっと手作りでした。食事を変えてから、数ヶ月で体調が変わってきたように思います。

手作りごはんに変えて、気をつけることはありますか?

手作りごはんに移行する過程で、下痢をしちゃうわんちゃんがいます。やはり下痢をすると、飼い主さんとしては心配してしまいますよね。「あんなものをあげたからかな」と、自分を責めてしまう方が少なくないですし、獣医さんもやっぱり手作りごはんよりフードを勧める人が多いのが現状です。お腹を下して病院にかかると、お医者さんから「手作りのものをあげたから」と言われてしまいます。それで、またフードに戻っちゃうパターンが多いんです。「下痢をするのは、お腹が良い方向に変わっていこうとしているだけだから心配しなくてよいですよ」と伝えるようにしています。

教室に来ない(来られない)人たちに向けて食事のアドバイスはありますか?

もちろん私の立場からすれば、みなさん手作りごはんに変えてほしいと思っています。ただ、実際にはハードルが高いです。無理なく取り組んでもらうことが一番だと思うので、新鮮な食材でトッピングから始めてみるのはどうでしょうか。

忙しい方への料理のアドバイスとかありますか?

毎日作るというのは難しいと思うので、週末やお休みの日にまとめて作っておいて、冷凍保存するのがよいと思います。

今後、わんちゃんやねこちゃんの食はどのようになっていくと思いますか?

近年では食育という言葉が広まったように、人間の食事を気にする人は増えました。同様に、動物の食事についても興味を持つ人も増えていくと考えています。手作りごはんは注目されていくと思いますが、一方で、フード業界は大きな力をもっていますし、動物病院の重要な収益源でもありますから、ドッグフードやキャットフードがなくなるということは考えづらいです。

最後に、一日のお気に入りの時間を教えてください

ヨガをする時間ですね。最近始めたばかりなのですが、体調が整ってきました。今まで三日坊主で物事を続けるのが苦手な性格だったのですが、ヨガはスッキリして気持ちよいので、自然と続けられます。いろいろなものに影響を受けて体調が左右されることを食事から学んだので、ヨガも同様です。体調の波を整えるためにやっています。

 

今日はお話、ありがとうございました!

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PROFILE

中村さやこさん

トリマーとして3年ほど勤務。体調を崩し通院治療をするため退職。飼っていた犬のアトピーが酷く手作りごはんを独学で始める。自身の体調が良くなり、動物看護士の道に進むため資格を取り、動物看護士として動物病院に勤務。その動物病院が手作りごはんを勧める病院だったため、手作り食について再び勉強。滋賀県に移り住み再び動物看護士として勤務。仕事をしながら、ペットの手作りごはんの資格を取る。現在は、ペットも人も食べられるお菓子や料理教室をメインに活動。

ペットグルーミング検定
小動物看護士
食育インストラクター
APNAペット食育士1級
SAE犬の管理栄養士
JSAあんフラワー&あんクラフト認定講師
食品衛生士
愛玩動物飼料製造許可届け出済み

フラワーキッチン ポピー
中村さやこ わんにゃん料理研究家(Instagram)
ワンにゃん健康おやつチャンネル
店舗・法人様向け製品説明/Q&Aセッション