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まなべる ナノウエル

2023.03.22 まなべる ナノウエル #07

【積水ハウス:沢辺泰代さん・植山生仁さん】パートナーとの住まいと暮らしを考える(後編)

わんちゃんや、ねこちゃんと幸せに暮らすための住まいについて、住まいの専門家である積水ハウス・住生活研究所の沢辺泰代さんと植山生仁さんにお話を伺いました。住生活研究所では、愛犬愛猫と飼い主、両方の視点から住まいを考えた「ディア・ワン」という家づくりのコンセプトを開発されています。この後編では、パートナーとの暮らしや住まいに関するヒントをお聞きしました。

【前編を読む】愛犬愛猫と飼い主両方の視点から考える家づくりについてお伺いした前編はこちら

動物たちと暮らすうえで、必要な住まいの設備などはありますか?

沢辺さん:わんちゃんや、ねこちゃんを飼っている社員を対象に、ペットたちの普段の居場所や寝ている場所、ご飯の場所などを調査したことがあります。本当にバラバラでした。例えば、ご飯の場所やトイレ、ペット用品が家のいろいろなところにありました。すると、家で過ごす時間が少ない家族にとってはどこに何があるか分かりにくく、使いづらいのではないでしょうか。

家族の誰もがお世話をできるように、住まいとしてボトムアップすることはできると思います。例えば、フードやケア用品を収納できる場所の下にベッドを置けるスペースをつくったり、ねこちゃんのトイレを置くスペースを換気がしやすい洗面室に設けたり。トイレのニオイ対策については、さまざまな実験を行なって、消臭クロスなどよりも換気扇が最も効果的だと分かりました。トイレの置き場所もひと目につかない場所を選んだり、収納の下に定位置をつくったりすると、人もねこちゃんにもやさしいですよね。

他にも、わんちゃんの足や体を洗うとき、お風呂場を使うおうちが多いですよね。毛が飛び散りますし、人の姿勢もしんどいですよね。少し高さがあって大きめのシンクをつくって、お湯が出る場所を工夫したり、わんちゃんが立てるように底をフラットにしたりすると便利です。特別な設備がなくても一緒に暮らすことはできます。でも、ペットもひとも快適に暮らすために住まいで工夫できることはたくさんあります。

植山さん:床に敷くカーペットも開発しましたよね。畳のようにクッション性があり、一般的なカーペットと違い毛足が立っていない織物です。掃除機を使いやすいので、換毛期の掃除が楽になるんです。

おうちでの湿度管理はどのようにしたらよいでしょうか?

植山さん:うちでは、夏場はエアコンをかけているので、湿度が適度に下がっています。乾燥がひどくなるのは冬ですね。加湿器は意外とメンテナンスが大変で電気代もかかるので、必要なときだけ加湿することが多いですね。わんちゃんや、ねこちゃんが乾燥に特別弱いというわけではありませんが、乾燥によって静電気がたまりやすくなったり、フケが出てしまったりすることはあります。そういったときは湿度を上げてあげるとよいと思います。

床暖房を備えているおうちが増えましたが、わんちゃんや、ねこちゃんには大丈夫ですか?

沢辺さん:サークルやケージなどの定位置が床暖房しかないということでなければ、大丈夫だと思います。

植山さん:メイも床暖房のうえでのびのびしていることもあれば、暑く感じたら自分で床暖房のない床に移動していることもあります。温かいところと涼しいところの両方を用意してあげて、自分で選べるようにしておくのが大切ではないでしょうか。

敷地が狭くても、わんちゃんが遊べる場所を確保した家をつくりたいときはどうしたらよいですか?

植山さん:家のなかに走り回れるような滑らない床を用意してあげると、室内で遊びやすくなって運動量が増えると思います。

沢辺さん:でも、ちょっと外に出ると目の輝きが変わりますよね。屋外に走り回れるほどの庭がなくても、デッキをつくるなど、少し外に出してあげられる場所があるとよいかもしれません。わんちゃんの散歩って、ただの運動ではなくて、彼らは屋外の音やニオイなどの調査のようなことをしているんです。暑い日や雨の日などお散歩ができない日も、少し外に出られるデッキがあるだけでわんちゃんの暮らしは変わると思います。

植山さん:室内から外を見られるのも、わんちゃんや、ねこちゃんにとっては大きな刺激になります。人の暮らしが丸見えにならないように設計の工夫をしながら、外を見られる窓をつくるのもよいかもしれませんね。狭い敷地面積でも、彼らの刺激になるようなさまざまな工夫ができますよ。

わんちゃんが吠えるおうちでの防音についてはどうしたらよいでしょうか?

沢辺さん:吠え声のための防音対策をすることはあまりありませんね。おうちのなかでの居場所をどこにするとよいかという観点では考えます。

植山さん:わんちゃんや、ねこちゃんにかかわらず、小さいお子さんがいる家庭も少なくありませんよね。人が生活するうえで、さまざまな音が発生するので、基本的な性能として防音には最大限に配慮しています。

ニオイが強い子にはなにか良い対策はありますか?

植山さん:フェレットなどの一部の動物の多頭飼いでは、ニオイがとても強くなってしまうことがあります。風向きも考えながら、家のどこに24時間換気の排気口を設置すればよいのか、家の向きをどうしたらよいのか、隣家にニオイが流れないように壁を設置するなど設計段階から工夫したことがあります。

住生活研究所では、安全面の確認をどのように行なっていますか?

植山さん:ユニバーサルデザインという視点で、子どもたちや赤ちゃん、シニアに対する安全について研究をしてきました。住宅では、階段や床、扉の安全についての研究や開発がとても進んでいます。そのような取り組みのなかには、ペットの安全やニーズにも共通するところが多くあります。

わんちゃんやねこちゃんがシニアになったときのことを考えて、住まいづくりで注意したほうがよいことはありますか?

沢辺さん:若いときは高いところに飛び乗ったり降りたりすることができます。しかし、シニアになってくると、徐々に階段が苦手になることもあります。私が昔飼っていたマルチーズの子は、段差が大きい階段が苦手になり、上がらせないようにしていましたが、上階にだれかが行くと気になっていたようでした。できるだけ習慣を変えないほうがよいと思うので、若いころから、階段は上らせないとか、上りやすいようにマットを階段に敷くとか、工夫をするとよいと考えています。人が寝る場所や暮らしの場所も大きく関係することなので、早くから考えておくとよいかもしれません。

 

今日はお話、ありがとうございました!

 

【前編を読む】愛犬愛猫と飼い主両方の視点から考える家づくりについてお伺いした前編はこちら

 

今回のロケ地「Tomorrow’s Life Museum 関西」

家族の明日の暮らしを楽しみながら学べる体験ミュージアムです。完全予約制で落ち着いて、ライフスタイルのコンセプトごとに洗練された素敵なモデルハウスを見学することができます。ご来場の際はウェブサイトから必ずご予約を。

https://www.sekisuihouse.co.jp/tlm/
〒619-0224 京都府木津川市兜台6-6-4

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PROFILE

沢辺泰代さん、植山生仁さん

沢辺泰代さん
積水ハウス株式会社 住生活研究所所長

トイプードルのハチちゃんと暮らしている。「住めば住むほど幸せ住まい」をテーマに、収納、食空間、ペットなど幅広くライフスタイル研究に携わっている。

植山生仁さん
積水ハウス株式会社 住生活研究所

柴犬のメイちゃんと暮らしている。専門は感性工学。人もペットも楽しく健やかに、そして心地よく感じる空間を研究開発している。

積水ハウス 住生活研究所
Tomorrow's Life Museum 関西
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